2022年11月19日 / 伊勢藍, 藍染工房∞伊勢藍について
秋も深まり、自然豊かな[藍染工房∞伊勢藍]もすっかり秋色に染まっています。
これから美しくも厳しい冬が始まると思うと、身が引き締まる思いと共に心のどこかでは楽しみにしている部分もあります。
季節の移ろいをつぶさに感じることができるのも、[藍染工房∞伊勢藍]がある三重県いなべ市の大きな魅力の一つ。
最寄りの大安ICは、名古屋からは車で40分ほど。大阪、京都をはじめとする関西地方や東京などの関東地方からも毎日多くの方がお越しいただき、[藍染工房∞伊勢藍]をとりまく自然の表情と江戸時代の灰汁発酵建て藍染を楽しんでいただいています。
[藍染工房∞伊勢藍]では現在、〈伊勢藍〉と同じ三重県の伝統文化である〈伊勢型紙〉と〈伊勢木綿〉と共同して、〈トリプル伊勢〉プロジェクトを進行中。国内展開に向けて、鋭意作品を制作しています。
江戸時代の灰汁発酵建て藍染と同様に、江戸時代に花開いた〈伊勢型紙〉と〈伊勢木綿〉は、江戸時代の庶民たちの生活を豊かに彩り、それぞれその技巧を守りながら今日まで発展してきました。
今回の〈トリプル伊勢〉プロジェクトでは、その正真正銘 本物の伝統技巧をかけあわせることで、新しい価値を生み出し、未来に向けて更なる発展を実現したいと考えています。
〈伊勢型紙〉は、三重県鈴鹿市に伝わる国指定の伝統工芸品。着物などの生地を染色する際の柄や紋様のために製造される型紙の一つです。
その魅力はなんと言っても、精巧かつ繊細な紋様の美しさにあります。錐彫り・道具彫り・突彫り・縞彫りなど、彫刻する道具によって丹念に彫り抜かれた型紙は、それだけで人々を魅了する美しい佇まいがあり、その背景には極めて高い集中力と忍耐に裏打ちされた高度な技術が必要とされます。
〈トリプル伊勢〉では、伊勢型紙の第一人者の一人であり、伊勢型紙保存会の会長である内田勲先生みずからがオリジナルの型紙を彫っていただきます。
内田先生には、月1回[藍染工房∞伊勢藍]において開催されている〈伊勢型紙彫り&染め教室〉の講師を務めていただいています。こちらのイベントも大変人気を博しています。
〈伊勢木綿〉もまた、三重県を代表する伝統工芸品(三重県指定伝統工芸品)です。
純綿糸を使用し丁寧に織られる〈伊勢木綿〉は、高い通気性と調湿性を備え、優しい肌触りと古布のような風合いがあります。使用するほどに糊が落ち、生地が柔らかく肌触りがよくなる〈伊勢木綿〉は、伊勢商人たちの行商や、お伊勢参りのお土産として各地に広がり、江戸時代の人々に大変重用されました。
そんな〈伊勢木綿〉も現在では、〈臼井織布株式会社〉のみで製造されるだけの大変貴重なものとなってしまいました。現在[藍染工房∞伊勢藍]の江戸時代の灰汁発酵建て藍染体験では、その〈臼井織布〉の〈伊勢木綿〉を染め素材としてご購入いただき、藍染体験をしていただけます。
〈伊勢藍〉〈伊勢型紙〉〈伊勢木綿〉に共通することは、それぞれ必要な手間と時間を十分にかけて、気が遠くなるほど技術の研鑽の上に発展した伝統技術であるということ。
そして、大量生産・大量生産を基盤とした現代の生活様式の中で忘れられつつある技術であるということ。
しかしながら、一方ではSDGsという言葉に代表されるように、使い捨ての文化が蔓延る現代だからこそ、見直され始めている貴重な技術でもあります。
冒頭に書いた通り〈トリプル伊勢〉プロジェクトでは、それぞれが培ってきた伝統の技術を、時空を超えてかけあわせることで、新しい未来に向けて新しい価値の創造と発信、ライフスタイルの提案を実現したいと考えています。それもまた、私たちにしかできない日本や世界の将来のための使命であると思います。
〈トリプル伊勢〉の今後の展開につきまして、当ブログで随時ご報告していきます。
江戸時代の正統な灰汁発酵建て藍染をはじめとして、染めにまつわるさまざまな体験をしていただける[藍染工房∞伊勢藍]では現在、12月と1月の体験を受付中です。ご応募・体験教室の概要はこちらのFacebookページにてご案内していますので是非お気軽にお問い合わせください。
また、その江戸時代の灰汁発酵建て藍染で一点ずつ染め上げた〈伊勢藍〉の品々は、こちらのオンラインショップやCreemaサイトでお求めいただけます。遠方などで体験にお越しになれない方も、気軽に江戸時代の灰汁発酵建て藍染で染められた製品を、毎日の生活に取り入れていただけます。ぜひお時間のある時にご覧ください。
お車でお越しの方
東海環状大安ICまで・・・
名古屋から約40分
京都から約1時間20分
大阪から約2時間
東京から約5時間
電車でお越しの方
三岐鉄道三岐線大安駅まで・・・
名古屋駅から約1時間
大安駅から工房まで徒歩約12分