向寒の季節となり、[藍染工房∞エノクの輪]のあるいなべ市も朝晩はめっきりと寒くなってきました。
江戸時代の灰汁発酵建て藍染には、水が重要な役割を果たします。[藍染工房∞エノクの輪]では、全ての工程において[いなべ藍ランド]地下を流れる鈴鹿山脈の伏流水を使用しています。伏流水は一定温度で流れるため、外気の寒い冬の季節にはやや暖かく、天然水特有の自然の優しい柔らかさが感じられます。
[藍染工房∞エノクの輪]では、11月の藍建ての作業が完了し、藍甕の中に美しい“藍の華”が咲きました。
[藍染工房∞エノクの輪]で再現される、江戸時代の正統な灰汁発酵建て藍染は、蒅(すくも)や本物の備長炭の灰からとった灰汁などの天然素材のみで藍建てした染液のみを使用します。還元剤などの化学薬品、糖類などの添加物を一切用いず、微生物による好気発酵と嫌気発酵の複合発酵循環による力を利用するものです。
天然の素材のみで藍建てされた染め液に、生地を浸け、絞り、空気に触れさせ酸化させることを繰り返す江戸時代の灰汁発酵建ての藍染の技法は、生地の上に藍が貼り付く表面活着です。この技法で染められた生地の表面には微生物が宿り、様々な効用がもたらされることが知られています。
目には見えない、でも確かにそこにある世界とも言える微生物たちの力によってもたらされる藍の効用には、抗菌、防臭、消炎、鎮痛、鎮静作用があります。また、ほぼ100%のUVカット効果や、美肌、肌荒れ改善、果てはアトピー性皮膚炎への優れた効力も認められています。このような確かな効果があったからこそ、江戸時代の人々はこぞって灰汁発酵建て藍染の衣類を求めたのでしょう。
江戸時代の灰汁発酵建て藍染によって染められた品々に宿る効果は、もちろん現代の私たちの生活にも役立てられることばかり。むしろ、発酵食品を積極的に摂ることなど、毎日の生活に微生物を取り入れることに自覚的になった現代だからこそ、江戸時代の灰汁発酵建て藍染の技法は“着る菌活”として注目されています。
天然素材のみを使い、微生物の力に頼る江戸時代の正統な灰汁発酵建て藍染の藍建ては、時間と手間、労力のかかる作業です。
確かに化学薬品や糖などの還元剤や添加物を用いて、作業の効率化・簡略化をすることができるかもしれません。でも、[藍染工房∞エノクの輪]ではそれをしません。
なぜなら、江戸時代の灰汁発酵建て藍染の全ての工程は、“生き物”と向き合い、寄り添う作業であり、その工程には全て意味があるからです。ひとつでもその工程を省くことで、全ての工程が無効化してしまい、当然、先述した藍の効能も期待できません。
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